この修道院が建てられたのは11世紀。中世ですよね。日本で言えば平安時代。
建物は大きな石で組まれた城壁で囲われて、まるで中世のお城のようです。
入口には大きなつり橋が残っていました。
「こりゃお城だね、中世の城みたいだよ」と私。
「英仏戦争など多くの戦乱がありましたからね・・・」と添乗員。
ちなみに今回のパック旅行の添乗員は、背の高い美人。なかなかの教養人。
この島の中には小さな部落があります。殆ど土産物を売るお店で埋まっています。
さてさて、修道院の中ですが、意外と?その形が古いのです。厚い石の壁、小さな窓、全然きらびやかさがない。
「この形式をロマネスクといいます」と添乗員。
確かに塔が高いバロックや、装飾に飾られたロココ様式とは大分異なります。
「天井が面白いね。まるで船の底みたいだね」
「そうなんです。これはノルマン人バイキングの造船技術の応用ですね」
この修道院にはチョット変わった場所があります。中央に中庭があるんですね。
この中庭の様子を見て、どこかで見た風景だと思われませんか?
そうなんです。スペインでよく見られるイスラムの様式ですよね。
11世紀のスペインは殆どがイスラムの世界で、中世ヨーロッパより進んだ先進地域。
その様式が入っていても不思議じゃないですよね。
我々はヨーロッパのお城というと、中央ヨーロッパのゴツゴツしたゴシック様式や、パリやウイーンの華やかなロココ様式をイメージしますが、中世も11世紀は案外素朴な感じだったのですね。伝統のローマ時代の建築方や、他の技法を取り入れて建築されていたんですね。
この修道院は海の中に建てられています。
周囲には砂浜が広がり、なんとものどかな状況です。
しかし、この砂浜が大きな問題なんだそうです。
もともとは海の中にあったのですが、後に道路を作って修道院へ車で行けるようにしたらしい。便利になったのはいいのですが、海流の流れを遮ったためにドンドン砂が溜まって、陸続きのようになってしまった。このままいくと、海上の修道院じゃなくて原っぱに立つ修道院になってしまう。
「フランス政府は道路を取り除いて橋を作り、海流を流したいらしいのですが、地元の反対が多くて工事は中断しています」と添乗員。
そう言えば新たに出来た原っぱには多くの羊が放牧されていましたね・・・・。
モンサンミッシェルの観光の後は、また5時間ぐらい高速道路走ってパリに帰ります。