サブプライムローンの焦げ付きに端を発した金融危機と言われていますが、それだけの問題ではないと思いますが・・・。 どうも「パクスアメリカーナ」の終焉ではないかと。
「パクスアメリカーナ(Pax Americana ラテン語)」という言い方は、「パクスローマナ」からきた言葉だそうです。ローマ帝国時代に地中海世界が絶大な勢力を誇るローマ帝国のもとで平和が続いた状態を「パクスローマナ」と言ったとか。
第二次大戦後アメリカの軍事力、経済力のもとでヨーロッパの復興、日本の経済成長が進みましたが、アメリカがなかったら無理だったでしょうね。まさに「パクスアメリカーナ」だったといえますね。
私が小さい頃はアメリカは自動車王国でしたし、鉄鋼などの素材産業はもちろん、マスメデアなどのソフト産業も断然世界一。陽気なアメリカ人は活動的で自信に溢れていたし、テレビで見るアメリカ市民の生活は憧れというより、届かない夢の世界みたいな感じでしたね。
どうもアメリカが変調をきたしたのはベトナム戦争からみたいな気がします。正義の戦いだったはずが、闘っている現場の兵士自身がどうもヘンだと感じてしまう。
9.11の世界貿易ビル破壊で始まった「テロとの戦い」に至っては何処かクレージー。本国を攻められたことのない国ですから、怒り心頭状況になったのはわかるけれど、そもそもの原因はアメリカの極端なイスラエル擁護の姿勢から発したパレスチナ問題。
その後のアフガン、イラクに至っては茶番劇みたいな感じすらする。自分で火をつけておいてその後に消化におおわらわしているというのは言い過ぎかなー。混乱で現地の住民は大変だし、国家そのものが崩壊してしまうのはまさに暴力的。
いろんな問題をアメリカに任せてヌクヌクとしている国の国民としては、はなはだ勝手なコメントではあるんですが・・・・。
経済関係でみてもアメリカのビジネススタイルは世界をリードするものとされています。横文字を羅列するエコノミストが、これこそ新しいビジネスモデルだとか、アメリカではこんなに進んだビジネスがあると紹介してくれます。
よくわからないのですが、アメリカは貿易赤字と財政赤字が続いている国でしたね。そんなアメリカで行われている、資本や金融など、お金をうまく運用して収益を確保するビジネスがそんなに素晴らしいものなんでしょうかねー。
現在のアメリカは鉄鋼はもちろん自動車などの製造業は自国のシェアの維持も難しい状況で、情報や金融で収益を確保しているみたいです。ローマ時代の末期に質実剛健を誇ったローマ社会が乱れていった状態に重ね合わせて見てしまうのは素人の見方かも。
アメリカの金融機関の経営危機は、どうもアメリカのビジネスモデルの崩壊のような気がします。単なるリスクマネージメントの失敗ではなく、額に汗して働いて富を創造する姿勢が欠如した結果ではないかと・・・。
しかし「パクスアメリカーナ」に慣れきった我々としては、その終焉ははなはだ厄介ですね。
アメリカ批判は楽ですが、「その後君はどうするつもり?」と問われると、答えに窮してしまいますね。
パクスローマナの後、地中海世界は東方からの民族移動で混乱の時代を迎えました。小国が乱立して長い中世時代を過ごし、東や南からのイスラム勢力やモンゴル侵攻に脅かされ続けます。
きっと私が生きてる時間では「パクスアメリカーナの終焉後の世界」の形を見ることは難しいですが・・・。