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 砂漠の雨は怖い

 砂漠に雨が降る時があります。たしかカシュガルに入る日だったと思いますが、現地のツアーガイドがこれから行くところで昨日雨が降ったらしいと慌てているのです。
 “砂漠で雨が降れば涼しくていいじゃん!”
 そんな気分で我々は暢気に構えていましたが、その日はひどい目にあいました。まず、行く先々で道路が水に流され、その度にバスはゴビタンの中に入ってガタピシャの原野を行くことになりました。
 インターネットで飛行機から撮った写真を見つけましたが、まさしくこのように氾濫状態になります。
 砂漠の雨は怖い_d0140806_231576.jpg

 そして河に差し掛かると、なんと橋が流されて渡れない。両岸の道路には何台もトラックが停まって、その長さは10キロ(大げさでなくホント)。昨夜から徹夜で待っているというのです。砂漠には迂回道路はない。
 橋の修理に兵隊が数十人出ていたのですが、その動きがなんとも緩慢でイライラしました。若い兵士はタバコを吸いながら土嚢つくりをゆっくりとやっています。
「どうしてチンタラやっているんだ、俺達が手伝ってやろうか。鉄板を持ってくればいいんだよ。鉄板を!」気の短い日本人観光客が騒ぎましたが、改修工事のスピードはあがりません。
 ビックリしたのはそこで物が売られていました。橋の修理を待っている人達をお客に、付近の住民がコーラや飲み物、食べ物、スイカなども持ってきて商売を始めていました。そして商売を始めた人達の方が、修理の兵隊よりも元気に動き回っていました。
「中国人っていうのは凄いね・・・・・」

 その日は野宿を覚悟しましたが、何とか夜には橋が開通して、外国人だからというので優先して渡らせてくれました。ホテルに到着したのは深夜になりましたが、この騒動のお蔭で真っ暗闇の砂漠の中で、満天にキラキラと輝く星を見ることが出来ました。空気が澄んでいるから星が近くに見えましたよ。
 この雨騒ぎはそれで収まらず、翌日も大きな影響を受けました。カシュガルからパキスタンに抜ける国際道路を使って、有名な湖近くまで行こうという計画でしたが、道はズタズタで今にも落ちそうな岩石が道路わきに一杯。正直怖くて、私は計画通り登ろうという人達を説き伏せて途中で引き返しました。

 非常に残念がった友人が、恨めしそうに行く予定の山を撮った写真です。
 砂漠の雨は怖い_d0140806_2332114.jpg


 話が少し飛びますが、「砂漠のさまよう湖」というのをご存知ですか?
 タリム盆地を流れるタリム川は2千キロ以上の長さを誇る大河ですが、最後はタクラマカン砂漠の中に消えてしまいます。中流付近でタリム川を見ましたが、轟々と水が流れる凄い大河でした。そのタリム川の最後に流れ込むのがロプ湖で、確かヘディングという探検家がこの湖が移動することを発見。
 歴史書によれば2千年ぐらい前にロプ湖付近に「桜蘭」というオアシス国家が存在したが、忽然と砂漠の中に消えたというのです。この歴史書と探検家のさまよう湖の話が重なって、想像の世界が膨らみますね。さらに付近から妙齢のアーリア系の美女のミイラが発見され、「桜蘭の美女」「さまよう湖」は浪漫を掻きたてました。
 この2千年前のミイラは、ウルムチの博物館で身近に観察できました。頬骨が高く鼻筋がスッキリしていて、どう見ても東洋系とは見えませんでした。2千年前にはアーリア系の人種がこの地域に住んでいたのでしょうね。
 シルクロードでは水がないと生きられませんが、その水の乱暴な動きで振り回される歴史でもあるのですね。私たちの雨騒ぎなど、取るに足らない話なんですね。
Commented by kyokosank at 2008-02-22 09:47
「さまよえる湖」の話はロマンがありますね
by takeshi_kanazaw | 2008-02-23 23:07 | シルクロード(中国) | Comments(1)

海外や国内の適当に撮った写真の記録


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