張液の町から新幹線(中国・高速鉄道)で祁連山脈(きれんさんみゃく)を越えて、青海省の西寧に向かう。
「この張液は、東方見聞録で有名な マルコポーロ が一年間も滞在した町です。 そのマルコポーロの像があるので、チョット見て行きましょう」
ご存じのマルコポーロ、13世紀(中国・元の時代)に、イタリアのベニスから叔父と商売で東方へ。 この張液の町で、元の皇帝の都への入場許可を待っていたという。
「あれ? 像を見るだけなの?」
シルクロードを旅する人には、マルコポーロ にイメージを膨らませている人もあるかも。 でもこの旅の企画者はそんなことは重要と感じないようです。まー、13世紀ですから、何も残っていないでしょうが・・・。
余談ですが(このブログではよく余談がでてきます)ちょっと独り言を。
日本人旅行者は、シルクロードの旅に独特の感覚を持って訪れる人が多い。 日本古代から仏教伝来など、このシルクロードを通じて西域からもたらされて文物も多い。 どうも、日本人はシルクロードに一種のロマンを感じるんですね。
ところが中国人は、西域と言うのは、気候も厳しく、食べ物も不味い、異民族の住む場所と感じている。 ですから、シルクロードを旅しても中国人ガイドから、シルクロードに係る歴史的な話を聞こうとしても、全くの期待外れということになります。 同行する日本人同士で議論した方がよほど知識が豊富。
マルコポーロなんて、よく知らねーよ と言われそうです。
張液の駅に来ました。
都市名が簡体字で書かれていますが、私はほぼ予想は出来る。 どうも我々は17時16分発のウルムチ(乌鲁木齐 )発、蘭州(兰州 )行きの列車に乗るようです。 17時、ごご5時なんですが、これらの時間は全て北京時間。 張液付近は約2時間ぐらい時差がある感じで、感覚的には午後3時前の状態。
中国では列車がくる時間が近づかないと、お客をホームに入れません。
やってきました、新幹線。 中国では和諧号(愛称)ですね。
最近は中国旅行をすると、この和諧号に乗るケースが増えてきましたね・・・。
日本の新幹線に乗ってるのとほぼ同じ。 漫然と外の景色を。
この張液なんて町は人口100万を超える都市ですが、中国ではまさに西域の田舎。 そんなところに新幹線を引き、高速道路が走っています。 中国はいまや世界一の長い高速道路網を持つ国で(アメリカ以上)、同時に新幹線の線路の長さは既に日本を越えています。
社内販売の人が来ました。 「コーヒーをちょうだい」 と英語で。 その後がイケナイ。販売員が何を言ってるのかサッパリ判らない。どうも中国語を喋っているみたい。
横に座っていた中国人の青年が助け舟を出してくれました。 綺麗な英語で「コーヒーの種類を聞いていますよ」 「そうか、ノーミルク、ノーシュガー」 販売員はすぐ理解してストレートコーヒが。
旅をすると隣の人によく助けてもらいます。 彼は四川大学の医学部博士課程の学生。クラスメートの女子学生3人を連れて、卒業旅行だという。 私の英語はヒドイのですが、J君というお医者様の卵はとても英語が上手くて、発音が綺麗。 何とか意思疎通が可能状態。 中国語だけだと筆談で大変ですが・・・。
レンタカーを借りて、青海省と敦煌辺りを走ったそうです。 レンタカー代は15000円ぐらいが2回。値段は日本とあまり変わりませんね・・・。 中国の学生(博士課程)がレンタカーで旅行する時代なんですね。
新幹線の車両内、我々の場所だけが盛り上がっていました。
そこに現れたのが 我 折り紙オジサン のFさん。すぐに彼を中国人の学生たちに紹介。
「この人の特技は折り紙だよ。 何を折ってほしいかリクエストしたら?」 と言うと、彼女たちが求めたのは、なんと ピカチューの折り紙。 ピカチューの折り紙って見たことがありますか?
頼まれた折り紙オジサンのFさん。 全然動じる風がない。 立ったままでピカチューを折り始めた。
ピカチューの折り紙が出来上がると、女学生たちの歓声が上がる。 女学生は3人。全員に折らないとイケナイでしょうな・・・。 Fさん、さらに頑張る・・・。
私は? 折り紙騒動に巻き込まれていては、車窓の景色を見逃してしまう。 なんといっても、祁連山脈を越えて行くのだから、その様子を見ておかないと・・・。
トンネルを抜ける頃、雪山が現れました。
途中の駅に近づいて速度が落ちた頃がチャンス。
Fさんの方を見ると、どうも座り込んで臨時の折り紙教室が開催されているようでした。
「Fさんは車窓の景色を見てないんじゃないかな・・・・」
私は窓ガラスに身を寄せて、景色の変化していく様を追っかけてました。
草原に小さく点々と見えるのは放牧している羊でしょうね・・・。 長閑な風景が続きます。
綺麗な雪山が見えました。
この季節に雪を被っているのですから、相当標高が高いですね・・・。 5千メター前後はありますね。
折り紙教室のFさんへ。
「女学生だけじゃなくて、隣のJ君にも何か折り紙を折ってやってよ」 と私。
「そうだな・・・。 青い色でドラゴンを折るか。 彼が皇帝のように出世するように願って・・・」
J君のために折った青いドラゴン。 J君も結構喜んでいました。
Fさんの周りの女学生たち。 盛んにスマホで友達に折り紙の写真を送っているようです。
張液から西寧までの車中。 あっという間に時間が過ぎてしまいましたね・・・。
ほぼ300キロ、2時間チョットの旅でしたが・・・。
マルコポーロの像があったり街は中国らしくないですね。
新幹線も驚くほどカッコイイですね。
車窓の風景も今までと全然違い綺麗です。
ピカチュウを折り紙で折るFさんは親切ですね。
なんといっても、中国では全ての土地は国のもの。
中央がやると決めたら何処までもという感じ。
なかなか個人の意見は通らないみたいですね・・・。
ズーとこういう感じでは行かないだろうとは思いますがね・・。