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 祁連山脈(きれんさんみゃく)の上を飛ぶ  新シルクロードの旅 その34

 シルクロードの旅、10日目の午後は敦煌(とんこう)から西安へ飛行機で移動。

 敦煌空港にやってきた。

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 敦煌は20万弱の小さな町ですが、莫高窟(ばっこうくつ)などの国際的に有名な遺跡があり、大勢の観光客が来るので、ちゃんと空港があるんですね。

 さすがに飛行機の数は少なくて、我々が乗る飛行機以外には数機程度。 閑散としています。

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 さて、敦煌から西安までどのくらい離れているのか、なかなかイメージ出来ないかもしれませんね。
 何時も載せているシルクロードマップです。

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 敦煌ー西安間はおおよそ1500キロぐらい、飛行時間は約2時間です。 結構遠いのです。
 この地図で分かるように、殆どが祁連山脈(きれんさんみゃく)の上を飛ぶことになります。
そして、祁連山脈に沿ってシルクロードの河西街道(かせいかいろう)が通っているのですが・・・。

 敦煌の飛行場を飛び立つと、すぐに眼下に雪山が見えてきました。

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 祁連山脈は全長1000キロを超える大山脈です。 最高峰は6500mで、標高4000m以上の雪山がズーと連なっています。 シルクロードの山はいずれも大きくて高い山ばかりですね。

 もうこの山でも5000mを超えているのかもしれません。

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 写真の上の方(南になる)は青海高原だと思われます。 青海高原は黄河や長江の生まれる場所であり、標高4000mぐらい雪の高原が続いて、南のチベット高原へと連なります。

 「河西回廊は見えないかな・・・・・・」  飛行機の窓からズーと下を見ているのですが・・・。
 シルクロードは西安からローマへの道ですが、そのプロ・ローグとでもいうべき導入部に当たるのが「河西回廊」です。 北の砂漠と南の祁連山脈にはさまれた回廊のような場所が1000キロ以上続きます。

 下の地図は唐の時代に玄奘三蔵が歩いた道ですが、長安(現在は西安)から蘭州(らんしゅう)を経て、河西回廊をひたすら西へと向かって歩いたのですね。
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 河西回廊という名前は、河(すなわち黄河)から西への回廊状の道という意味で、この道には祁連山脈からの雪解け水の恩恵を受けて、点々とオアシスがあります。 現在でもこの玄奘三蔵が歩いた道に鉄道が引かれて、ウイグル自治区へのメイン通路となっています。

 しかし、この河西回廊は中国王朝の支配下になっている時期は多くないのです。 中国王朝がこの河西回廊に勢力を及ぼしたのは、前漢(紀元前1~2世紀)の時代に、青年将校 霍去病(かっきょへい)の活躍で匈奴に打ち勝ったことから始まります。 同時代に西域の月氏へ行こうとした 張騫(ちょうけん) は、河西回廊辺りで匈奴の捕虜となっています。

 その後も河西回廊は、たびたび北の遊牧民と南の大国吐蕃(とばん、チベット族)の支配を受け、長安も一時吐蕃に占領されたこともあるぐらいで、西域への道は何時も通商が安全とは言えない時代の方が長かったらしい。ちなみに、現在でもチベット自治区にとどまらず、青海省や四川省の西部はチベット族の世界です。

 飛行機はどうも祁連山脈の南側を飛んでいるようです。 

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 川が見えますが、これは多分青海高原から流れて、黄河に流れ込む支流かもしれない・・・。 川沿いの場所は、きっとシルクロードの枝路である、青海の道 かもしれません。

 飛行機はドンドンと祁連山脈の上を飛び続けます。

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 キラキラと光る川が綺麗でしたね・・・・・。

 蘭州に近づいたころは、もう雲が一杯で山の姿も見えなくなりました。 そろそろ西安に降りていくようです。

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 実は25年前の第一回目のシルクロードの旅は、この河西回廊を、蘭州からバスで点々とある各オアシス都市に泊まりを重ねて、トルファンまでの10日ぐらいの旅でした。 最初は中華の国の田舎ぐらいの感じですが、進むにつれて荒涼たる原野が増え、そして万里の長城が尽きる場所まで来ると、ここから先は異民族の住む西域になるという感じが肌で判りますね。

 唐代の詩人王維の詩 「送元二使安西(元二の安西に使ひするを送る)」が有名で、「西出陽關無故人(西のかた 陽関を出づれば故人(知り合い)無からん)」の句をご存知の方も多いかと。 河西回廊を旅するとそんなイメージになります。

 もし、初めてシルクロードを旅したいとお考えの方、出来れば最初は河西回廊を旅し、中国世界から西域への気分を味わっては如何でしょうか。(ただし現在の姿はどうなのか知りません。オアシス都市も建築ラッシュで昔の面影はないかも・・・。シルクロードを体感出来るかどうか、全く自信はないのですが)  二回目以降にウイグル自治区のタリム盆地周辺を旅され、西域の別世界を満喫された方がいいかと思いますが・・・・。

 西安に着きました。 何やらどんよりした天気でしたね・・・。

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 この西安でシルクロードの旅も最終地です。 


 
Commented by odamaki719 at 2016-10-22 20:58
こんばんは♪
 飛行機からの祁連山脈の雪山が見事ですね。
飛行機からの景色が美しいです。
Commented by takeshi_kanazaw at 2016-10-23 07:53
odamaki719 さん。
雪山が広がる眼下を眺めて、一人で昔の河西回廊の旅の思い出に浸っていましたね。
Commented by small-talk at 2016-10-23 19:39
万年雪の山々、圧巻ですね。
おそらく、人がまったく入らない、未踏の山もあるのでしょうね。
Commented by takeshi_kanazaw at 2016-10-24 08:28
small-talk さん。
この辺の山は、各民族が神の山として崇めているようです。
あんまり登山を趣味にするような感覚はないのかもしれませんね。
by takeshi_kanazaw | 2016-10-22 07:57 | 新シルクロードの旅 | Comments(4)

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