この旅は11日間の行程なのですが、後半のトルファンから敦煌、そして西安はまさに急ぎ足です。
「トルファン以降はお客集めのための付け足しだよ」 という、ツアー仲間の声。
確かにシルクロードの旅と言えば、トルファンとか敦煌をコースに入れないと、お客さんが集まらないのかもしれません。 今回のツアー仲間の半分は、もう何度目かのシルクロードの旅という人もいるのですが、残りは全く初めてという方々もおられました。
「えらく早朝から出発するんやな・・・・・」
「中国では列車に乗る前にも検査があって、日本と事情が違うんですよ。 飛行機並みかそれ以上に時間が掛かるんです」 と添乗員さん。
まだ早朝のトルファンの町をひたすら北へ。
トルファンの町はすり鉢の底にある感じですから、30分以上バスで坂を登って駅に。
新しく出来た駅みたいですね。 我々が乗るのは高速鉄道、中国の新幹線です。 この駅は従来の路線と離れて走る新幹線のために作った駅のようです。 いや路線は同じで、駅だけ新しいのか・・・。よくわかりません。
駅に着いてから、荷物検査、身体検査と、長々と・・・・・。
30分以上の時間を経て、駅の待合室へ。 検査の話はもうやめましょうね・・・・。
中国の場合、長距離列車では時間までお客をホームに入れません。
日本のように急いで自販機で切符を買って、そのままホームに走り、新幹線に飛び乗るという芸当は無理です。
やっと列車が入ってきました。 中国では列車に乗るのも大変ですね・・・。
中国の新幹線、和諧号(調和・ハーモニーの意)ですね。 新幹線とは言わず高速鉄道と言います。
和諧号にはこれまで2~3度乗ったことがあるので、私はよく知っていますが、スピードはほぼ日本の新幹線と同じですし、車内の様子は全く新幹線そっくりです。
日本の新幹線のコピーだという意見や、いやいや中国は独自の技術だという主張もありますが、今やその路線の長さは日本の新幹線の路線をはるかに超えています。わずか10年あまりで日本に追いつき、追い越したということですね。 シルクロードの田舎に新幹線ですからね・・・・。
この新幹線でトルファンから敦煌(実際は柳園という別の駅)までの4時間の行程ですが、実はこの場所は西安からローマに至るシルクロードで、一番厳しい自然の道のりが続く場所です。
25年前は今回と逆に敦煌からトルファンへバスで移動。 とても一日では走れないので、嘉峪関(かよくかん)に一泊。 延々と砂と石ころの場所を走りました。 まさに「空に飛ぶ鳥なく、地上に獣なく、人骨を道しるべにして旅をする」 と言われるところで、真っ白な塩の湖(地元では白い悪魔と呼ぶらしい)が広がったり、彼方此方で蜃気楼が現れたり・・・・。
新幹線の車窓から見える風景です。
それらしき感じはするのですが、実際にバスで走るのとは随分違う・・・。
さらに周囲が不気味な黒い禿山が増えてきて・・・
「サー、これからがいいところだ・・・・・」 と思っていると、なんとトンネル続き・・・・。
やっぱりこの道は新幹線ではいけません。 ラクダは無理でもせめてバスで走るべきです。
でもそんなことを言っても中国人は受け付けないでしょうね。 そんなツアーは企画段階でオシャカになってしまうでしょうね・・・・。 現代の旅人は気の毒ですね・・・・・。
中国の新幹線でも社内販売があります。 この辺でゆっくりホットコーヒーでも飲んで・・・。
さすがに新幹線。 中国特有の甘ったるいインスタントでなく、ごく普通のコーヒーでした。
2時間以上走ったでしょうか、オアシスが現れました。 ハミウリで有名なハミの町ですね。
コーヒーを飲むと強烈にタバコが吸いたくなる私。 中国の新幹線は喫煙場所がゼロ。
「ハミの駅で10分ぐらい停車しますから、ホームでタバコが吸えますよ」 と現地ガイドのGさん。
天の助けと、ホームへ。 和諧号がジーと私のタバコを吸い終わるのを待っている?
それにしても、この和諧号。 日本の新幹線のスタイルによく似てますね・・・・。
ドンドンと新幹線は走ります。 ハミの町も建築ラッシュですかね・・・。 後ろの雪山は天山山脈の一部のボゴダ山のようです。 雪山とオアシス、ハミもウロウロしたい場所ですがね・・・・。
なんだか面白ものが見えてきました。 風力発電をしているんですね・・・。
千機以上のプロペラの隊列でしたね。 トルファンからこの地方は風の名所。 風速60m以上にもなるらしく、風で列車が転覆事故を起こしたことがあるそうです。
4時間後、やっと柳園の駅に到着。 辺りは砂ばかりで何にもありません。
敦煌へ行くには柳園から2時間ぐらいバスで走らなければいけません。
敦煌へたどり着くのも大変なんです。
途中でトイレ休憩。 田舎のハミウリを売っている小さな掘立小屋。
道端にごろりとハミウリが置いてあります。
ハミウリはまさにメロンと同じで、中国では結構有名なのですが、産地ではこんな感じでゴロゴロと置かれています。 もちろん売り場ではちゃんと積み上げられてますよ。
畑の白いのは塩です。 オアシスを離れると、こんな感じで塩が浮く、不毛の土地なんですね・・・。
空に飛ぶ鳥なく、地上に獣なく、人骨を道しるべにして旅をする」
うーん、凄いとこですね。
走っているうちに景色が、随分変わりますね。
日本はどんだけ走っても
町がきれないので同じような景色ですものね。
25年前にも逆方向に乗られたとか
技術革新がめざましく、時間が短縮されて
泊まらなくてよくなったのですね。
快適?な旅、電車移動になったのでしょうか?
この列車は日本の新幹線と全く同じ感じです。
しかし、旅情という点から見るとあまり楽しくない。
やっぱり苦労してバスで行くのがいいですね。
25年前にはズーと続く荒地を過ぎて、やっとトルファンの緑のオアシスが展望出来た時の感動は、シルクロードの旅の圧巻でしたね。
多分、現在では中国人のドライバーは、そんな場所を走れと言われても拒否するかもしれません。