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 楼蘭(ロウラン)の美女に再会  新シルクロードの旅 その3

 皆さんは 「楼蘭の美女」 をご存知でしょうか。

 1980年にタクラマカン砂漠の東端、古代楼蘭王国があったとされる場所から、綺麗な女性のミイラが発見されました。 このミイラの保存状態が良くて、その女性の髪の毛、まつ毛まで残っており、まるで生きていた当時そのままのような素晴らしさでした。 

 そして、その容貌は明確にアーリア系(ヨーロッパ系)の面立ちで、科学鑑定では3800年も前のものと判明して、当時は大きな話題となりました。 この楼蘭の美女の存在は、現在の新疆ウイグル自治区の地域は、昔はアーリア系の人たちが住むところだったことを物語っています。 何ともロマンを掻き立てるお話ですね。

 この楼蘭の美女は、ウルムチにある新疆ウイグル自治区博物館に展示されてます。
  「楼蘭の美女と会うのは二回目だけど、ワクワクするよ・・・」 ウルムチの最大の観光スポットですね。

 私は25年前に、初めて楼蘭の美女に会ったときは、その素晴らしさにビックリしました。
 さて再会なのですが・・・・・。

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 薄暗い場所にガラスケースに入れられた彼女。 髪の毛はそのままですが、なんだか前より皮膚がやつれたような?気がします・・・。
 「僕は25年前頃にこの博物館でこのミイラを見たんだけど、このミイラは以前と同じものかい?」
 「そうですよ、同じものですよ。前と変わっていませんよ」と現地ガイドのGさん。

 そうなんです。 前の博物館ではもっと素朴な建物で、ミイラも自然光も入るオープンの部屋に、無造作にポンと置かれていたように記憶してます。 現在は薄暗い場所に大事に収蔵されているので、このミイラの良さが殺されているような気がしますし、何ともカメラ写りが悪い。

 とにかく久しぶりの再会なので、丁寧に見させてもらいましょう。
 足元を見ると、何か毛皮のようなブーツを履いていますね。

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 この毛皮もチャンと当時の状況が残っていますね。

 この楼蘭の美女の発掘後も、周囲の彼方此方でミイラが出てきたようです。
 これは子供のミイラですね。着ている衣服はホントに当時のままのような感じです。

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 私の写真ではイマイチ楼蘭の美女の素晴らしさが判りにくいので、発掘された当時の写真をインターネットから探しましたので載せておきます。

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 船のようなお棺に入れられていたようで、このイメージはテレビなどで見られた方も多いのではと思います。 私が以前にこの博物館で見た感じも、この画像に近いものでした。

(2021年、追加情報。 上のインターネットからの写真は、後述のロプノールを探検した スヴェン・ヘディンさんが発見したミイラのようで、彼は「ロプの女王」となずけたらしい。この写真の出典が未確認ですが、私がテレビで見たと思ったのは、多分この写真と思います。 楼蘭で発掘されたミイラとは同一ではないようです。なお、このロプの女王のミイラの年代測定は知りません)

 この楼蘭の美女が住んでいた楼蘭王国は、中国の歴史書によればロプノールという湖の傍に栄えていたと記されていますが、そのロプノールという湖が何処にあるのか判らない。 楼蘭王国があったとされる場所は、現在は遺跡が残るだけで砂の中に埋もれているそうです。

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(インターネットより)

 楼蘭王国が滅亡したのは4世紀頃からだとされ、乾燥が進んでロプノールが干上がってしまったのがその原因とされています。 これの見方はかなり信憑性があるようです。

 さてここで第二の質問です。
 皆さんは 「さまよえる湖」 という話をご存じでしょうか。

 楼蘭の美女が住んでいた楼蘭王国の湖、ロプノールは何処に行ってしまったのか?
 この探検をした人がいました。スウェーデンの地理学者、中央アジア探検家であったスヴェン・ヘディンさん。 彼はタリム盆地は平坦で、砂漠の砂の影響で川の流れが変化しやすいという仮説を立て、砂漠の影響で湖が南北に動くことを長年の現地調査で立証しました。 彼は移動して楼蘭近くに戻った川をカヌーで移動した写真を発表したのです。

 彼の探検から「さまよえる湖」の話は有名になり、「楼蘭の美女」の発見と「さまよえる湖」ロプノールの話は、シルクロードのロマンをさらに湧き立たせることになりましたね。

 この「さまよえる湖」の話は定説がないそうですが、スヴェン・ヘディンさんの言うとおり、標高差がない大砂漠の中ですから、川の流れが変化したり、湖の位置が変わってしまうことはありうると感じますね。

 楼蘭とロプノール周辺の地図を載せておきましょう。

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 地図の左から右へ流れるタリム川。天山山脈の雪解け水を集め、タクラマカン砂漠を縦断するように流れる、長さ1700キロ、幅2キロを超える大河ですが、このタリム川はなんと砂漠の中に姿を消してしまうのです。

 この旅でもタリム川を渡ったのですが、信濃川の数倍もある大河でした。こんな川が砂漠に消えてしまうのですから、この地域の自然が如何に大きくて厳しいものかを実感できましたね。

  「楼蘭の美女」と「さまよえる湖」の話は如何でしたか?
 シルクロードはロマンに溢れていますね・・・・。

 なお、楼蘭王国のあった場所は現在中国の原爆の実験場になっているらしく、外国人の立ち入りは極度に制限されており、観光旅行などは出来ないそうです。 そういえばテレビなどの紹介だけで、楼蘭のツアーなんて聞いたことがないですね・・・。

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Commented by small-talk at 2016-09-19 21:42
楼蘭、といえば、ヘディンの「さまよえる湖」ですよね。
僕は、学校の教科書に、ダイジェストというか、ヘディンの簡単な伝記を読んで知りました。
その後、一応、文庫本で読みましたがね。

文明、そしてそれを支える国家や都市には、水が不可欠です。
ロプノールの消滅が、楼蘭の消滅と重なるのでしょうか。
Commented by takeshi_kanazaw at 2016-09-20 08:20
small-talk さん。
そうですか、この話は教科書にも載っていたのですか。
シルクロードの住民は水があるところにしか住めませんね。
極度に乾燥しているので、地上に水を流すとすぐに蒸発してしまい、植物は全然育ちません。トルファン地方で見られるカレーズ(地下水道)はまさに、命の水という感じだったのでしょうか。
楼蘭遺跡の近くに干上がった湖の跡も発見されているようです。この場所は雪山から遠くて、川の水がなくなれば手の打ちようがなかったのかもしれません。
by takeshi_kanazaw | 2016-09-19 08:31 | 新シルクロードの旅 | Comments(2)

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