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 タイでまたデモ騒動   12.3

 微笑みの国 タイ でまたデモ騒動が起こっています。
 
 
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 直接の原因は2006年のクーデターで失脚した タクシン元首相の恩赦問題。
 デモはこの恩赦反対から、インラック首相の退陣要求へとエスカレートしています。

 現在の首相のインラックさん(美人首相)はタクシンさんの妹ですから、兄のタクシンさんの恩赦をするタイミングを見ていたわけで、起こるべくして起こった騒動ですね。

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 このデモ騒ぎの影響でしょうか? 私が2010年3月にこのブログに書いた「懲りない面々 タイ騒動」の記事を読まれている方がずいぶん増えました。
 現在のデモにおいても基本構造は変わっていないので、興味がある方は再読してみてください。
 「懲りない面々 タイ騒動」

 今回のデモ騒ぎのマスコミ報道でも、相変わらず表面的なことが主体になっているような気がしますので、気になる点を、何時もの私見ということで書き加えておきます。

 
 前のデモ騒ぎの時にタイに長期滞在していましたが、その時の逸話を少し。この話はこのブログの「タイ週報(半年分)」に詳しいのですが・・・。

 まずはチェンマイ住民のガイドさん。 タクシン派らしい。当時のデモのテレビ報道を見ながら・・・。
「こりゃまたクーデターだよ。デモと言いながらクーデターと同じや。 選挙で選ばれた政府をデモでつぶそうなんておかしいわ。 何度選挙してもタクシン派が勝つよ」

 バンコクで散髪屋さんでの床屋談義。 デモ騒ぎの真っ最中だったと思います。
「教養のある人は反タクシン派ですわな。 タクシンが首相の時は末端まで袖の下を要求されましたからな・・。 タクシン派は貧乏人に金をやって投票させてんじゃないかな・・・」

 ニュアンスからいえば、タクシンさんは日本の田中角栄さんみたい?

 まー、両方とも庶民の声なんですが、タクシン派、反タクシン派のニュアンスが感じ取れる逸話だと、今でも記憶していますが。 この両派の心情は、デモが何度も起きる根本的な要因かも。

 タイの庶民が口に出来ない要因を少し加えておきます。

 タイは王国で、現国王のラマ9世は優れた指導者として有名、国民の尊敬心は凄い。 これはタクシン派、反タクシン派を問わずです。

 タイの有名大学では、卒業式に皇太子さんや王女さんが、直接卒業生一人ひとりに卒業証書を手渡しします。大変な時間と労力がかかるでしょうが、王国なんですね。
 また、司法生の任官式では、該当者を立たせて国王が直接訓示をします。テレビで見たのですが、ラマ9世は眼光の鋭い方で、一人ひとりの顔をみられているシーンは迫力がありました。

 タイのエリート層は、そうして育ってきたんですね。

 それと重要なことがあります。 
 タイの軍隊はラマ5世(チュラルコン大王)の時代に、王様の親衛隊として発足しています。 現在でもタイ国軍の統帥権は確か国王だと思います。2006年のタクシン追放のクーデターは、この国軍の力がないと実現しなかったと思います。

 タイの王様を取り巻く国軍、エリート層は、いわば既得権を持っている人達が多いと云われ、タクシン派の増大に危惧する心情が起きるのでしょうか。 王様の意図とは直接関わらなくとも、この層の人は反タクシンという感じになるでしょうね。

 さて、今度のデモの行方ですが・・・。 読めませんね・・・。

 12月5日は国王の誕生日です。 これが一つのポイントとなる時期。
 タイでは国王の行事が行われている時に、デモ騒乱で行事が妨げられることは絶対ありません。 双方ともそんなみっともないことはしない。 そこで一時休戦か妥協が実現する可能性があります。

 これまでの騒乱は国王が一言云えば収まっていましたが、国王も高齢なので、今回の誕生日の国王のコメントはどうなるのか予想できません。
 
 以下は全く私の勝手な憶測ですが・・・・。

 重要ポイントはタイ国軍の動向です。 デモをしている反タクシン派は、国軍が出てインラック退陣へ進むことを期待しています。 デモ騒乱を大きくして国軍出動の状況をつくりたい。

 一方インラック首相はなるべく騒乱を避けたい。 静観したいがデモの規模が大きくなりすぎて苦慮しています。 既に恩赦法は上院で否決されているので、デモで退陣するという従来のパターンはしない覚悟。

 タイ王国では、選挙で選ばれた政府と、従来からの王国としてのシステムに摩擦が出始めています。 タイ国民の王室への尊敬心は強いので、日本の天皇制のようなスタイルへソフトランディングを模索されているのでは?
by takeshi_kanazaw | 2013-12-03 16:09 | 時事放談 | Comments(0)

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