タイの下院総選挙で、タクシン元首相派のタイ貢献党が勝利し、タクシン氏の妹のインラック氏(44)が初の女性首相となるらしい。
インラック氏(写真中)は何か ケバケバ オネーサンのように見えますが、タイの中年女性は化粧が濃くて美しい?方が多いので、ケバケバ風は特別ではない。
タクシン派と反タクシン派の抗争は、2006年の軍によるクーデターでタクシン氏が追放されて以来、ズーと続いています。 黄シャツ(反タクシン派)と赤シャツ(タクシン派)がデモ騒ぎを繰り返していたことは、皆さんよく知っているとおりです。
この辺の現地の感覚は、私がバンコクに住んでいた頃のブログ(カテゴリ「タイ週報(半年分)」)で度々触れたところです。
「総選挙が終わったんだから、そろそろ落ち着くんじゃないの?」
日本人の感覚ではそう思うのがごくごく普通なんですが・・・・。
日本の報道ではあまり触れられていませんが、私は、今度の選挙結果は ” タイ王国における立憲君主制の曲がり角 ” ではないかと思うのですが。
以下は私の勝手な解釈ですが、まー、2003年から2008年バンコクに度々暮らした人間の感性ということで、耳を傾けていただければ・・・。
将来抗争の焦点は「現チャクリー王朝とタクシン元首相派の調整」となるのでは、というのが私の考え方ですが・・・。
1.「そんな馬鹿な発想はおかしい!」 きっとタイの人の多くはそういうでしょうね。
タイ国民は現在のラーマ9世(プミポン国王)に対する敬愛は絶対で、たとえタクシン派に属する人も、プミポン国王に反対する人はいない。これまでの数度の政治混乱は、国王のツルの一声で決着してきたのが、タイの政治だった。
現在においても、恐らくタクシン派の人に聞いても、プミポン国王は尊敬し敬愛していると言うだろうし、自分達が王家に対抗する勢力だという自覚は恐らく持っていない。
2.次期の王様の時代はどうなる?
タイの憲法では、国王は日本の天皇のように「尊敬し崇拝すべき地位」として人民の最高点に立つ人物とされていますが、「タイ軍の総帥」「仏教徒であり且つ宗教の保護者」であったり、「国王に対する不敬罪」が存在します。
こうしたことから、タイは立憲君主制でほぼ日本と同じ政治体制ですが、国王の親衛隊から生まれたタイ国軍が、簡単に腐敗した政治家どもを一掃してしまう、軍事クーデターが多発する事態が生まれることになります。
民衆が選んだ政治体制を、国王の意図を読んだ国軍が転覆させると言う構図は、2006年のクーデターもそうですし、つい最近の空港占拠のデモによる政権交代でも、後ろに王家の影響があると思うのですが。
こうした権力の二重構造的な政治体制が曲がりなりにも維持できているのは、現国王のプミポン国王の個人的人柄と能力に依っています。必ずしもチャクリー王家の力というより、現国王の個人の力という感じがします。
この権力二重構造形態をどう変化させていけるか
これが次期王様の命題になるし、現在の王様も十分考慮しているところではないでしょうか。
今回の総選挙の結果をどう読んで、王家のポジションをどう取るか・・・。
3.日本の皇室との関係
アジアにおける立憲君主国として、タイと日本は密接な関係があるようです。
日本とタイの経済関係は良好な時代が続いていますが、日本の皇室とタイの王家の付き合いが、その後ろ盾になっている面は否定できないようです。 (我々庶民には判りにくですが)
私の勝手な想像ですが、タイ王家も日本の皇室の立場やシステムには、十分すぎる関心があるのではないかと思います。 タイ王家の一種のソフトランディング後のスタイルの一つが、日本の天皇家のあり方のような気がします。
4.タクシン派の今後
現在は選挙に勝って ” タクシン時代が帰ってくる ” ということで沸き立っています。
しかし、選挙結果と国王の権限という二重構造はそのままですから、王室を取り巻く旧勢力(反タクシン派)を排除していくと、どこかで現在の憲法をどうするかという問題に突き当たります。
王様の周辺の逆臣共を退治する、 という構図は江戸時代のお家騒動みたいですが、タクシン元首相が王家への反乱?を企てると民心は離れますから、もっぱら王家の周辺勢力を狙い撃ちしていくことになるでしょう。
タイの政治はまだまだ安定しないと思いますね。
ながながと私の勝手な想像? を書きました。
タイでは不敬罪がありますから、恐らくタイの方はこんな意見は書けない。
私は不敬罪で拘束される?
いやいや、私はプミポン国王はなかなかの人物だと尊敬してますから、大丈夫でしょう。
女優さんかと思いましたよ!
でも、彼女が勝ったのは自らの魅力ではなく、お兄さんの
影響力なんですね。
そうなると単なる2重構造というだけでなく、もっと複雑になる
可能性もありますね。
彼女の意見とお兄さんの意見がいつもいつも同じかどうかは
わからないわけですし・・・^^;
プミポン国王は聡明な方ですから、自分の後の世をどう導くべきか、
きっと考えていらっしゃるでしょうけれど、ご自身の持つ軍隊を
放棄するというのは、容易な決断ではないだけに、簡単に日本の
ような象徴天皇制になれるかというと、わからないですね。。。
今回も面白い解説、ありがとうございました。ここの解説が、一番
わかりやすいです^^
前首相のソムチャイさんもタクシンさんの妹婿でした。
彼は黄シャツの空港占拠の対応が出来ず、辞任しました。
今回のインラックさんも不安がありますから、タクシンさんの罪を恩赦にするかどうかがポイントになるでしょうね。
最近タイへ行っていないので、我流解釈かも知れませんが。