白骨温泉は上高地や乗鞍岳へ行く時によく利用しています。 お気に入りの温泉です。
「温泉はお湯に色がついていないと気分が出ないや」 と私は何時も思っていますが、白骨温泉は名前の通り、まるでお湯が骨が溶けたように白濁しています。
宿は定宿にしている 前田旅館。 まっこと小さな宿です。
白骨温泉は全体でも10軒ぐらいしか宿がありませんが、この前田旅館さんはウンと小さいほうで家族経営の宿。シーズン外の平日には電話一本で泊めてもらいます。
「またお世話になります。よろしく」
小さな駐車場には私の車だけ。 どうもその日の客は私一人みたいでした。
古い畳の部屋。トイレもバスも外。 昔ながらの宿です。
何時も本を数冊持って行って、ノンビリと温泉に浸かったり、本を読んだりのパターン。
「よく降るね・・・。」
「昨日まではもっと凄い雨でしたよ。」
部屋から見ると、シトシト雨が続いています。
「上の路は(白骨の人は林道を上の路、工事中の県道を下の路という)まだ雪があったよ」
「今年は雪が多くてね。連休前まで雪がちらつきましたよ」
「とにかく温泉に入るわ。浴槽は変えてないよね、あの小さな湯垢が付いたの」
「まえのままですよ。」
私はこの宿の小さな、汚れた? 昔ながらの温泉が好きなんですね。
お湯に含まれる石灰質が、湯槽の彼方此方にこびりついて、まるで岩みたいになっています。
何回も好きな時間に入りましたが、何時も私一人だけでしたね。
「懐かしいね、このガラス。 小さい頃の我家にもあったね。最近は全く見ない」
とにかく、畳の部屋に寝転んで、本を読んだり、お湯に浸かったり・・・。
私はあんまり豪華な温泉旅館は苦手。 この宿みたいな小さな旅館がいい。
翌日。雨があがったようです。
白骨温泉には川端に大きな共同浴場がありますが、その湯けむりでしょうか。
「今日は上高地ですか? 天気が良くてよかったですね」
「そうだね。でも山の天気は判んないからな・・・」
さー、とにかく上高地へ出発です。