ところが三陸海岸というのは結構長いんですね。
松島の先の金華山から青森の八戸まで、直線で2百キロ弱もある。リアス式海岸だから実際の距離はどのくらいあるのか・・・・・。
ところで、三陸海岸にはリアス式海岸の湾内に結構大きな港町があります。主だった町でも、南から順に、気仙沼ー陸前高田ー大船渡ー釜石ー宮古ー久慈などなど。それぞれ人口が五万人から十万人ぐらいの町です。どこかで聞いたことのある名前の町ではあるんですが・・・。さてさて何処に行くか・・・。
「まー、南から順に海岸沿いの道をノンビリ海を見ながら走ろう」 と思ったのですが、これも実際は無理。
リアス式海岸の道路というのは海辺を走っていない! 幹線道路は殆どが海岸の裏側の山を突き抜ける状態で続いている。 もしどうしても海岸を走ろうとすれば、突き出した半島や島づたいに、細いくねくね道を探して走らなければいけない。
「ふー・・・。どうすんべーかなー。 まー、適当に気仙沼へ行ってみるか。歌謡曲の港町ブルースにも、~けせーんぬま~ってあるじゃないか」 至極いい加減な一人旅ですね。
ところが前日の天気予報では”三陸海岸は濃霧注意報”
「霧か? まー、霧の三陸海岸も”オツ”じゃないか」
最初に訪れたのが気仙沼。結構大きな遠海漁業の基地ですね、この町は。
港に行ってみると大きな船が一杯ですね。
「港ばかり見ていてもしょがないなー。海岸はないの?綺麗な海岸は・・・」
わざわざ気仙沼の駅まで行って情報を収集。
「巨釜半造という半島の先の断崖が有名ですよ」 と喫茶店のおばさん。
そこまでの道順を聞いて、やおら出発したのですが・・・・。
「こりゃなんだ。霧で全然前が見えないじゃないか!」
半島の先へ行けばいくほど霧が濃くなってくる。少々心細くなってきましたね・・・。
「ここまで来たんだから、巨釜半造とやらに行くぞー!」 と目を凝らして運転すること30分。
結構大きな駐車場らしきものが霧の中から現れました。 周囲には誰もいない・・・・。
恐る恐る? 岬と思しき方向に歩いて行きましたが、周囲は濃い霧が立ち込めていましたね・・。
さてさて、岬に近づいているはずなんですが、霧でよく判らない・・・・。
雰囲気としては霧にかすむ松林で風情はあるのですが、全く周囲は人影がない・・・。
「どうもこの先は海らしいな・・・。松林の先に海がうっすらと見えるみたいだが・・・」
「やっとたどりついたみたい・・・。」
断崖が見えてきましたね・・・・。霧の中でしたが、岬の先端は少しは霧も薄いようでした。
「ここまで来たら、先端まで行くぞー」
先端は断崖絶壁でした。波がその絶壁に打ち寄せていましたが、遠くの地平線は全く見えません。
どうも三陸海岸というのはよく霧が発生するらしい。
旅行中は三陸海岸の最高気温は20度前後。西から冷たい風が吹きこんでいたようで、こうした気候条件の時は、まさに濃霧が発生するようです。
お昼に寄った食堂のお兄さんに聞くと、
「お客さん、やっぱり梅雨が上がった夏がいいですよ。夏が」
どうも来る時期を間違えたようですね・・・・。
でも霧にむせぶ三陸海岸も捨てたもんじゃないですよ。 負け惜しみ?
”水無月に 三陸海岸 霧の中”
三陸海岸のドライブはまだまだ続きます。