瓦礫の地にラクダ草が生えているゴビタンが続くのですが、遠くに見える雪山、時折見える蜃気楼の湖、彼方此方に小さな竜巻など、それなりに変化はあるのです。しかし、景色が雄大すぎてそんな情景はうまく写真には撮れません。
そんな時間、大半の旅行者はもっぱら眠っているのですが、私だけはズーと車窓からの風景を見続けていましたね。
三蔵法師が此処を通ったとか、西夏などツングース系の騎馬、チベット系の兵士やウイグルの商人、そしてモンゴルの騎馬も駆け抜けたんだろうなー。そんなことを考えながら、ぼんやりと風景を見ていました。
シルクロードの旅で問題は「トイレ」です。
数百キロの間に休憩所も何もないので、「天然トイレ」となります。
「男の人は右側。女性は左側!」となって、全員それぞれ思い思いに用を足すことになりますが、意外とこれが快適。初め嫌がっていた女性達も、汚い街のトイレよりズット快適と好評でした。
何もない道にも時々変化が起こります。草原が近いと羊の群れが道をふさぎます。当然のごとく群れが道を横切るまで、我々のバスは待つことになります。
緑が見え始めるとオアシスです。実際に旅をしていると、砂漠の中に湖が見えたり、オアシスのような森が見えたりしますが、近づくと消えてしまいます。 旅人が蜃気楼で見間違えてしまって、道に迷うというのは本当ですね。とにかくオアシスが近づくと風景は一変します。
オアシスという言葉は“癒し”のニュアンスでも使われますが、砂漠でのオアシスはチョット感じが違いますね。オアシスでしか人間は生きていけないので、ちょうど大海の中の島のような感じがしましたね。“癒し”というよりやっとたどり着いた”極楽”とでもいう感じですね。