「木曽路は全て山の中にある」 島崎藤村の 夜明け前 の冒頭の一節ですね。
馬篭はこの島崎藤村の生誕地で、夜明け前の主人公は彼の父親の一生を描いたとされています。
島崎家はこの馬篭の名主で、島崎家の祖先が開拓して馬篭宿を作ったらしい。
「そろそろ馬篭も秋やな~・・・・」
石畳の坂を上って行くと、まず見えたのは赤く染まったもみじ。 部落の神社の境内にある。
この馬篭宿は麓の落合宿から馬篭峠(標高801m)へ上る途中にあり、標高はほぼ450mぐらいですね。
その左側にあるのが大きな水車。
何時も観光客が記念写真を撮っている姿が見られますね。
馬篭宿はズーと坂ばかりです。 坂の上にある宿場というのは珍しい。
お婆さんも手を引かれて登っています。 まさに石畳を登るという感じです。
馬篭宿は西の落合宿からほぼ2里ぐらいあり、東の妻籠宿までは馬篭峠を越えて3里ぐらいありますから、途中にはどうしても宿場が必要になったのでしょうね。 この間は全て山道ですからね・・・。
「コーヒーが飲みたいな・・・。ゆっくりタバコが吸いたい・・・・」
コーヒー中毒、ニコチン中毒の私。 何はなくともホットコーヒーとタバコ。
初めて入った土蔵の喫茶店。
「いつ来ても馬篭は観光客で一杯やな・・・。 馬篭の宿は人の中や・・・・」
「そうですね、でも今年は中国からのお客さんがガクッと減りましたな・・・・」
喫茶店を出てノロノロと馬篭宿のメインストリート?を登って行く。
いつも通りの観光客の波が続いていますが、そういえば中国人の姿が見えない・・・。
「中国経済の減速が、日本の山里にまで及んでいるのか・・・・・」
現在の馬篭宿は、殆どが土産物屋さんか、民宿の家ですね。
一度ぐらいは民宿に泊まってもいいのですが、名古屋人の感性だと近すぎて泊まろうとしないですね・・・。
この馬篭宿には 藤村記念館や本陣跡などがありますが、何時も素通り。
私にとっても馬篭宿はウオーキングの出発点であり、コーヒーを飲む最後の場所という位置づけ?
馬篭宿の道路脇には山からの水が流れ、結構綺麗なんですが・・・・。
道路の両側には一杯店がありますが、一度も入ったことがない。 まさに素通りという感じです。
まったく馬篭宿の振興に寄与していないですね・・・・。
すぐに馬篭宿の端までやってきました。
「京まで52里、江戸まで80里か・・・・。 そんな感じやな・・・・・」
昔の人はズーと歩いたのですね・・・。 当たり前のことですが・・・・。
部落の高台から恵那山が見えます。
この馬篭の部落を含めて、中津川市や恵那市一帯は、この恵那山の裾野に当たり、なだらかな丘陵地帯に棚田が広がっています。 棚田と言っても山間の小さなものでなく、丘陵地帯の棚田です。
長閑な情景が広がっていますね・・・。
多くの観光客が来るのはここまで。 これからは旧中山道の山道が始まります。
ウオーキング開始と言った感じですね。
でも、本当なのですよね。
木曽路は谷が狭く、「山の中」という感じです。
長野県・岡谷から小牧方面へ向かう中央自動車道が、恵那トンネルをくぐるまで、伊那路を通るのは、やはり急峻な木曽路を避けたのだと思います。
最後から2番目の写真、好い感じの風景ですね。
その上の写真の恵那山、こんなに近いのですね。
中央高速道路はこの馬篭宿を過ぎたあたりで、恵那山トンネルに入ります。 そして伊那谷に抜けるわけですが、この恵那山トンネル一本で、旧中山道の山の中の道をすべて通り抜けてしまう形になりますね。