世界遺産も出てこないし、有名な観光地も出てこない。 まったく退屈な話ばかりです。
今回の話題はさらに面白くない話です。書いている本人が言うのも変な話ですが。
黄河にあった屯田村の跡。 この部落の写真を10年間撮り続けた人がいました。
中国語なのでよくわかりませんが、日本でいえば過疎化した村の老人の写真という感じ。
老人の顔にあるしわが、それまでの労苦を物語っていますね。 一時この写真をネタに村おこしみたいな動きもあったようで、写真館のような建物が部落の中にあったのですが、その建物すら今はもう草に覆われていました。
今回旅している黄土高原は、中国でも貧しい田舎ではあるのですが、それにしてもその荒廃ぶりはすごいですね。 上海や北京の大都会との格差は日本の比ではありません。
ここからはチョット硬くて面白くない話。しばらく我慢して読んでください。
中国では農村籍と都市籍があって、生まれた場所によって戸籍が違うことはご存知だと思います。農民籍の人は都市には住めないことになっています。 都市の人は国営工場などに勤めて、職場(国家)から給料や住宅の供給を受けますが、農民は基本的には自活です。
一人っ子政策とか、この戸籍制度など、止むにやまれぬ臨時的な政策だったと思いますが、その制度が社会に歪を生み出して、なかなか是正するのに苦労しているというのが現実ですね。
時代が変化して、鄧小平の開放政策以降、沿岸部の発展で農村から多くの人が都市に流れ込み(盲流といわれた) 都市の発展とともに工場などで働く(農民工と呼ばれる)状態になってきました。農民工の給与は都市籍の労働者の半分ぐらいで、安い労働力として中国の経済を支えています。
「まるで中国社会の二重構造やないか」
そうなのですが、現金収入の乏しい田舎の人は、子供を爺婆に預けて都会に働きに出かけるパターンが日常化し、急速に農村の過疎化が進んでいます。この部落でも、見かけるのはオジイサンやオバアサンばかりです。
日本でも戦後は都市化が進み、我々世代の人間が田舎から都会にやってきて、住み着いてしまいました。幸いにも日本は戸籍の区分はなかったですが・・・。
「中国も同じやん」 と普通では話はこれで終わるのですが、ここからが問題です。
中国の人口は13億人、うち農民は8億人と言われています。 日本の場合、戦後は農民の割合は60%ぐらいだったと思いますが、現在では10%を切っています。 ということは、これから中国が日本の辿った道を同じように歩むとすると、なんと6~7億人の人間が、農村から都市へ移動することになります。
6~7億人という数は、西洋諸国とアメリカを合わせた人口です。それだけの人口が、農村から都市に移動するということは、まさに「世界的な民族の大移動に匹敵することになるんじゃないか」
なんとも変なことを言い出す奴 と思いますよね。
少し仮説のように聞こえると思いますが、私がこの旅で感じたことを述べましょう。
「仮に中国の人が日本と同じ生活をするとなると、現在の西洋諸国とアメリカを加えたぐらいのエネルギー消費と、世界を相手にした経済活動が必要になるわ。 GDPが日本を追い越したなんてレベルじゃなくて、世界のGDPの半分を中国が占める状態になる計算だ」
そんなことになると、世界の経済構造は大変革せざるを得なくなるのは必至ですね。
「そんなことはあり得ない!」 そう思われる人が大半だと思います。
まず農民に職場を用意する力が必要だし、その人たちを支える社会基盤が必要です。そんなに簡単なことではないし、何より政治的安定が必要です。でも日本人に出来たことを中国人が出来ないという話は通らないでしょう。敗戦から高度成長を支えてきた日本人の姿を、中国人に置き換えて考えてみるとどうでしょうか。
余談ですが、今から1500年も前のGDPを計算した人がいて、当時は中国とインドで世界の半分以上のGDPを生み出していたという話を覚えています。中国の次はインド、そして東南アジア諸国など、東アジアの潜在能力は予想以上に高いのです。
50年後、いや100年後には、意外と?この話は真実味をおびてくるかもしれません。 少なくとも中国の中枢では、そんな将来図が頭の奥にありそうですね。すでに中国経済の不振はブラジルなどの経済に影響を与えていますし、上海の株の動きは重要な経済因子になり始めています。古い中国観にとらわれて、気が付いた時はもう遅い そんな風になるのかも。
これからは、大航海時代、産業革命、植民地拡大と500年続いた西洋中心の歴史観は、もう通用しなくなっていくのかもしれません。 現在の世界スタンダードは欧米で作られていますから、それを唯一の標準、正義とする考え方は、おのずと見直しが迫られることになるかも。
「考えすぎだわ、単に中国の農民が都市へ移動するだけの話じゃん。大げさに言うことはない話や」 そうかもしれませんね・・・このテーマに関しては日本のマスコミでもあまり取り上げていませんね。 イヤイヤ、日本のマスコミのセンスはまだまだ西洋崇拝の域にどっぷり浸かっていますし、日本政府は変な愛国心高揚の狭い視野に陥っていますから、意外と中国の現実を見ようとしない傾向にあります。
50年後はきっと私は死んでいるので、この話の結論は見ることができません。
今回は本当に旅行記らしくない話題でしたね・・・。
次回以降は、少しは旅行記らしい話題を載せなきゃいけませんね。
写真館のような建物が草に覆われて廃墟になっていますね。
文章が長すぎて今の私には読む元気がありません。
そもそも、国内消費だけで相当量になるのですから、産業の裾野がとても広くなるでしょう。
中国の政治体制は近代的とは言いがたいけれど、政策は日本より先進的な部分も多々あります。
例えば、優秀な人材を積極的にアメリカなどに留学させていますよね。
その人材が本国に戻り、研究開発を支えています。
たとえば、世界のスーパーコンピューターランキングの1位、2位は中国製ですが、こういうのは、その成果ですよね。
この辺りは、日本も見習わないと。。。
それと、アメリカのように世界中から日本に優秀な研究者を取り入れられるような、大学や研究機関にも力を入れないと、ダメでしょうね。
旅をすると、一時的ではあるのですが、その国の目線で物事を感じることができる時があります。その国で住んでいる人ほどではありませんが、日本で得られるマスコミ情報や本などの知識とは違う発想が浮かんだりします。
これが海外の旅の一番の面白さだと思っているのですが。
中国は法治国家とは言い難い国ですし、施行した法を為政者がちゃんと守る。三権分立が確立した普通の国にならないと環境破壊で易姓革命が起きる方が先になりそうです。
一年前の記事にコメントいただき感謝ですね。
日本の高度成長時代にも公害問題がありましたが、中国は国土も広くて公害の規模も大きいようです。それにまだまだ開発優先のムードがあるように思いますね。
また国の体制では、中国は日本人が考える普通の国にはならないと感じます。なにせ中華文明を作った国ですから、西洋のシステムのままでなく、独自の世界があっていいのではと考えているフシがあります。
50年後、100年後はどうなっているのか・・・
中国人は基本的には個人主義者で拝金主義。共産主義が似合わない国民ですから、何が起こっても不思議はないかもしれません。