私はこの人のことは全然知りませんでした。
現在国家政権転覆扇動罪で懲役11年の刑が確定し服役中だそうです。
20年前の天安門事件以来の民主化運動の象徴的人物らしい。
彼が中心になって作成した「零八憲章」が有名。
彼の受賞に中国政府が反発。
世界の眼はかたくなな中国政府への非難が一杯ですね。
さてさて、彼が中心になって作成したという「零八憲章」。
読んでみましたが、我々自由世界の人間から見ると、ごくごく普通の意見。
「なんでこれが政権転覆になるんやろ。俺なんかブログで一杯日本政府の悪口を書いてるよ。もし中国に居たら、俺は刑務所に入れられるンか?」
多分、刑務所に入れられるんでしょうね・・・。
1986年、中国の江南地方に2カ月滞在して以来、毎年のように中国各地を旅してきました。あの天安門事件の一か月前にも、中国を半月ぐらい旅していました。
「貴方は中国に暮らしていないから、ホントのところは判らないですよ」
中国の方の言葉を今でも覚えています。
どうして中国政府はかたくななのか・・・。
まず、清朝末期からの植民地状態を絶対避けたいという強い意志があると思います。
「政治・社会の自由の前に、まず国が混乱して外国の支配を受けないことだ! 外国の支配を受けるようなところに国民の自由なんかあるはずがない!」 ということでしょうね。
中国の歴史は、異民族の支配と、国内の暴動による政権崩壊の歴史を繰り返しています。国がまとまっていた期間は意外とそう多くはないようです。
そんなこともあって、天安門事件当時、鄧小平さんが武力鎮圧に踏み切った後、10億の民をまとめるのは簡単じゃないとアメリカの大統領に言ったとか。
一方中国人は、基本的には個人主義者で現実主義者だと思います。支配者の動向を見ながらしたたかに生きてきました。 今や世界第2位の経済大国になったので、政治の自由より豊かになったことに満足しているのかも。
歴史的に考えれば、今の地位でもまだまだ不満足という感じもあるかも知れません。なにせ、ローマ時代から世界を二分する勢力を持った中華の国なんですから。最近中国の人は愛国者が多く、自信を持ち始めていますね。
そんな感じのところに今回のノーベル賞騒ぎ。
今の中国ではこれを契機に人権問題がとり上げられる雰囲気はないのでは?
ことわっておきますが、私は中国ビイキではありません。
それぞれの国には、それぞれの歴史と事情があって、あまり外側から意見を言っても受け入れないと思います。
現在の自由主義と民主主義は、フランス革命、アメリカ独立戦争など、多くの血と混乱を経て今日に至っています。ですから専制国家の長い歴史を過ごしたアジアに、すぐにマッチするわけでもないと思います。
「何も全て欧米スタイルが正しいとは限らない。中国は中国のやり方がある」
多分そう思っているかも知れませんね。
変化は少しづつ、相当な時間が必要なような気がしますね・・・・。
この隣国と付き合うには、単に非難するより、覚悟して付き合う必要がありますね。
中国の友人にメールで率直に中国事情を聞こうとしても言葉を選んでしまう。こちらは良くても相手に迷惑かけるのではないかと心配してしまう。ユン・チアン著「ワイルド・スワン」の十分の一程度の世界を想像してしまう。世界にもっと心を広げた中国であり、自国民の心を縛り付けない国であって欲しい。
ご承知のように中国では微妙なことが多くて、ホントに困るね。
デモの若者の表情を見ると、政治信条というより、遊び感覚。
そんな感じの国だし、中国にはあんまり期待しない方がいいですね。
むしろそれを承知して付き合うのがいいんじゃないですか?